世界中の従業員、特に若い専門家が、自分の人生において仕事が担う役割を再認識しています。大量辞職から近年注目される用語にもなっている「静かな退職」まで、働き方のトレンドは労働者の疲弊や低意欲を強く反映しています。

働き方を変える必要性

Gallup社が発表した最新の『State of the Global Workplace Report』では、世界の労働者の過半数（57％）が労働環境に満足しておらず、いきいきと働いていないことが明らかになりました。

これは、労働者のウェルビーイング全体に深刻な影響を及ぼすだけでなく、企業の成長の可能性にも影響を及ぼします。Gallup社によると、満足度の低さは、生産性の損失として世界経済に7.8兆米ドルの損失をもたらし、従業員の定着率、生産性、安全性、収益性などの業績と強く関連しています。

労働意欲の高い従業員割合が多い事業部門は、少ない事業部門と比較して、利益が23％高くなっています。それでも、仕事に満足している従業員は5人に1人しかおらず、その集団の中でも、意欲はあるが仕事内容に満足していない従業員は、燃え尽き症候群になる可能性が61％高くなります。さらに、従業員の19％が「やりがいを感じていない」と報告し、10人中6人が前日にストレスを感じていると報告しています。

労働環境の不満がこれほどまでに高い水準に達している背景には何があるのでしょうか？
幾つかの中でも、とりわけ管理しきれない仕事量、支援の不足、不合理な時間的プレッシャーなどが、重要な要因になっています。

解決策は？

業務の自動化は、労働者をより幸せにし、より意欲を高める可能性を秘めています。

経営幹部は、反復的で危険な、あるいはストレスの多い仕事を最小限に抑えるために、自動化をどのように活用できるかを模索しています。

テクノロジーがいかに私たちの生活を楽にするかという意識の高まりは、職場における期待にも反映され始めています。

なぜ、デジタルと人の労働力の統合が有益なのか？

デジタルワーカーとヒューマンワーカーが労働を分担することで、疲弊している従業員は、付加価値の高い充実した活動に集中する時間を確保できるようになります。

デジタルワーカーのインテリジェントな意思決定能力の支援を得ることで、人は本来得意とする仕事に向き合えるようになります。
業務が円滑に進むようになることで、ビジネスの競争力は高まり、顧客に最適化された体験を提供できるようになることは、長期的な従業員満足度を高めていくために不可欠です。

人とデジタルの分業体制を統一することにより、そのメリットは何倍にもなる可能性を秘めています。

• 時間の節約: ビジネスに対する要求や圧力が高まり、十分なリソースや迅速な納品が難しくなる中、時間はますます貴重な資産になっています。
  デジタルワーカーが手作業や反復作業を引き継ぎ、最も効果的なリソース（人かデジタルか）に仕事を任せることで、ビジネスの時間を増やし、成長分野にエネルギーを注ぐことができます。
• スキルと人材の不足: デジタルワーカーと共同で作業を実践することで、業務はさらに標準化されて、特定の技能の必要性を減らすことができます。さらに、ノーコード プラットフォームを使用することで、開発がより簡単かつ迅速になるため、ITなどの分野で特定の人材が必要とされることやIT部門の負担も少なくなります。
• 効率的な分業体制: ヒトとデジタルとが協働する体制にすることで、生じたタスクに対して常に最高のリソースを割り当てることができます。
  従来は、すべての人が一律して同じように物事をこなせると考えられてきましたが、現実はそうではありません。人にはそれぞれ得意・不得意な分野があり、特定のタスクを処理するのが得意な人もいれば、そうでない人もいます。
  デジタルワーカーは、あるタスクが来たときに、それを人に任せるのが最適かデジタルワーカーに任せるのが最適かを判断するだけでなく、誰に割り当てると最も効果的にタスクを処理できるかを判断することもできます。
  このような分業体制により、従業員は顧客との関係構築やビジネス成長のための業務に集中することができるようになります。
• 規制遵守: デジタルワーカーは法規制の遵守も保証します。
  デジタルワーカーは、データがシステムをどのように処理して、移動したかを示す監査証跡を提供します。コンプライアンス関連タスクのトランザクションの検証や追跡は、反復的な作業で起こりやすい人為的ミスを解消します。
  人と同様に、企業は品質管理手順を実装して、デジタルワーカーのガバナンス活動に対する信頼性を高めることができます。
• エラー率の低減とコスト削減:多くの分野では、ミスを修正するためのコストが非常に高くなることがあります。そして、多くの組織は、エラー率を最小化するための手順やプロセスに多くの時間と資金を費やしています。
  医療や金融サービスのような分野では、エラーは顧客体験に影響を与え、実際のインパクトのある結果をもたらします。その場合、解決や損害の最小化に多大な時間とコストがかかりますが、デジタルワーカーは、データ入力などの分野で避けられない人為的ミスの可能性を排除するため、エラーの発生を極めて少なくできるようになります。

人とデジタルワーカーの協力体制を実現する具体的な方法とは？

労働力を統合する前に、自分たちの現状と目指す方向性を把握する必要があります。それは、どのような企業や組織にも共通して言えることです。

人工知能や機械学習のテクノロジーを使って何かをしたいという企業はたくさんありますが、少し詳しく訊くと、それらがどのようなものであり、なぜそのツールが必要で、適切に導入するには何が必要になるかを理解していないことがあります。

組織が自らのリソースで行う場合、パートナーの支援を受けるか否かを問わず、まずは、自分たちがどのようになっていたいのかのゴールを定め、それに向かうにあたってのロードマップを作成し、時間枠はどれくらいか？投資額はいくらか？投資収益率（ROI）はどの程度を見込んでいるのか？など、その道程における重要な要素を決定することが必要です。

私たちが一緒に仕事をしてきた数多くのお客様においても、まったく同じケースのお客様はおらず、社内の能力と要望が異なります。
不変なのは、成功のために重要な決定要因であるチェンジマネジメントの必要性です。

組織は、構造とプロセス、運用方法を変えなければなりません。なぜなら、従業員が変革を推進しなければ、デジタルワーカーとの統合のチャンスはないからです。組織がこの変化を管理しようとすると、業務に慣れ過ぎて主観的観点での取組になってしまうため、どのような変化をもたらすかを考案するにあたって、多くの場合外部からのサポートを得て、客観的意見を採り入れることも必要です。トップダウンからの取組とは別に、ボトムアップのプロジェクトを少しずつ、あるいは幾つかを同時並行で進めている組織がありますが、リソースを浪費し、展開を妨げることになります。

私たちのソリューションは、組織全体のギャップを埋めて、すべてのステップとレベルで仕事を結び付け、望ましいビジネス成果を生み出す事ができます。

組織は、チームの結束力を高め、可能な限り自動化を推進し、最適な人材配置を行わなければなりません。これにより、従業員にとって適切な仕事のバランスが生み出され、生産性、イノベーション、最適なカスタマーサービスが促進されていくようになります。人とデジタルワーカーが協力して仕事に係ることで、燃え尽き症候群の問題は緩和され、従業員が働きやすい職場環境が作り出されます。そのバランスをうまくとることで、仕事に対する充実感や意欲を持ちやすくなり、従業員のウェルビーイングを高めることができるようになります。