通信事業者がネットワークの構築、保守、拡張の迅速化と効率化を実現するうえで、インテリジェントオートメーション（IA）はどのように役立っているのでしょうか。

通信業界は、テクノロジーの進歩とグローバルな接続性の向上により、この数年で驚くべき成長を遂げました。5Gネットワークの急速な展開から光ファイバーインフラストラクチャの拡大、モノのインターネット（IoT）の台頭まで、通信ネットワークは日常生活に欠かせない要素となっており、コミュニケーションやコンテンツの活用方法、働き方に変革をもたらしています。

このような驚異的な成長が読み取れる統計をいくつかご紹介します。

• 世界人口の89%が携帯電話を所有
• 北米における5Gサービスの普及率は32%で、2021年から78%増加
• IoTデバイスの数が2025年までに300億台超に（見込み）
• 2021年までに、全世界で10億人超が光ファイバー接続でインターネットに接続

このように業界が大きく成長する中、通信事業者は絶えずパフォーマンスと顧客満足度を最大限まで高めなければならないというプレッシャーにさらされています。通信事業者は現在、ネットワークの保守とアップグレードに多額の投資を行っていますが、そうしたネットワークの運用を改善して回復力を高める新しい革新的な方法を見出す必要があります。さらに、増え続ける世界中のモバイルユーザーのニーズに対応すべく、既存ネットワークを迅速に拡張する方法も見つけなければなりません。

ネットワークパフォーマンスに関するデータや情報の量は膨大ですが、ネットワークパフォーマンスをモニタリングして最適な状態に維持するうえで不可欠です。ネットワークの保守と拡張だけでなく、ネットワーク運用の効率と品質を確保するためのさらなる予防策や予測に基づく対策を講じる機会を創出するためにも、このようなインサイトを生成することが極めて重要です。

IAは、通信事業者がネットワークを最適化して全体的な顧客満足度を向上させるうえで重要な役割を果たします。IAは、ロボティックプロセスオートメーション（RPA）テクノロジーと人工知能（AI）テクノロジーを組み合わせたもので、迅速なエンドツーエンドのビジネスプロセスオートメーションを実現し、デジタルトランスフォーメーションを加速させます。SS&C Blue Prismは、生産性、収益性、顧客満足度にプラスの影響をもたらす意欲的なワークフォースを生み出せるよう企業をサポートします。従業員とデジタルワーカー（DW）の作業をオーケストレーションすることで、時間とリソースを節約し、顧客対応に費やす時間を増やすことができます。

通信事業者がネットワークを保守するうえでIAとRPAがどのように役立つかについて、その例をいくつか見ていきましょう。

1.プロアクティブなネットワークのモニタリングと保守：

DWは、ネットワークのパフォーマンスを24時間体制でモニタリングするようプログラミングでき、データを収集・分析することで深刻化する前に潜在的な問題を特定します。こうしたDWが問題の深刻度に基づき自動的に保守チケットを生成して優先順位を決定するため、エンジニアは速やかに重大な問題に対処できます。RPAは、ネットワークの問題をプロアクティブに特定して解決することにより、通信事業者がネットワークパフォーマンスを一貫して高いレベルに維持できるよう支援します。

2.迅速な障害の検出と解決：

ネットワークの問題が起きた場合、ダウンタイムを最小限に抑えて顧客満足度を維持するには、早期解決を図ることがきわめて重要です。DWは、ネットワークの障害を検出し、場所、深刻度、問題のタイプなどの事前定義済みのパラメーターに基づいてそれらを分類するように設定できます。DWは、このような情報を基に適切なソリューションを提示したり、特定のタイプの問題に対して自動修正を実施したりすることもできます。これによって障害解決のプロセスが迅速化され、ネットワークの問題に対処するのに必要な時間とリソースが大幅に削減されます。

3.インテリジェントなインシデント管理：

RPA搭載のインシデント管理システムでは、経験、対応の可否、現在の作業負荷に基づいて最適な人員にチケットをインテリジェントに割り当てることにより、解決プロセスを効率化できます。これにより、通信事業者はワークフォースを最適化でき、適切な人員が速やかにネットワークの問題に対処できるようになります。さらに、DWにより各チケットの進捗状況が追跡され自動リマインダーが送信されるため、インシデントを見逃すようなこともなくなります。

4.顧客とのコミュニケーションの向上：

顧客満足度は通信事業者の成功に不可欠です。DWは、ネットワーク保守、停止、予定されているアップグレードに関する通知の送信といったルーチンタスクを自動化して、顧客とのコミュニケーションを改善する目的で活用することができます。顧客に常に最新の情報を提供することで、通信事業者はユーザーベースとの関係を強化して満足度を高めることができます。

5.データ分析による継続的な改善：

DWは、ネットワークパフォーマンス、顧客からのフィードバック、インシデントの解決時間に関する膨大なデータを収集して分析することが可能です。このような情報を活用してパターンやトレンドを把握することで、通信事業者は継続的にプロセスを改善し、変化するユーザーニーズに適応することができます。データ分析にDWを活用することにより、通信事業者はデータに基づく意思決定を行い、ネットワークの保守と問題解決の戦略を強化できます。

ご存じのように、これらは従来、手動による調査、テスト、診断が必要だったプロセスです。DWを使用すれば、技術者の派遣などコストのかかる人的介入を必要とすることなく、こうした作業の多くを自動的かつリモートで実施できます。

RPAテクノロジーは、コスト削減や顧客維持による「利益」の確保を実現するだけでなく、環境、社会、ガバナンス（ESG）イニシアチブでも通信事業者をサポートします。RPAは、事業者の二酸化炭素排出量（保守担当者の派遣回数）の削減に貢献するとともに、ネットワーク運用に関する数多くの重要なパフォーマンスデータを幅広く取得できるようにします。

SS&C Blue Prismでは、ネットワークの問題の解決、ネットワークの保守、拡張に必要な主要プロセスを自動化することで、通信事業者のお客様がネットワークを最適化し、より優れた顧客体験を提供できるよう支援しています。Nokia社、Telefonica社、Bell Canada社といった大規模通信事業者が、当社のDWを活用してネットワークの問題解決と保守プロセスの多くを自動化することで、驚くべき成果を上げています。

SS&C Blue Prismのテクノロジーアライアンスプログラム（TAP）には、現場から自動的にネットワークパフォーマンスに関するデータを収集して分析し、その結果を報告するだけでなく、将来のネットワークパフォーマンスも予測する革新的なソリューションを開発した複数のパートナー企業が参加しています。このようなパートナーと連携し、パートナーから提供されるデータを活用することで、当社のDWでは、そのデータを「実用的な」情報に変えてネットワーク機器をテスト、モニタリング、アップグレードすることができます。これにより、人的介入やコストのかかる技術者派遣の必要性をなくすことができます。